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「一体ここは何処なんだ……?」
正直、まだ自分の置かれている状況が理解出来ていない。
…訳が分からない。
屋内なのか、屋外なのか。
昼間なのか、夜なのか。
そして夢なのか、現実なのか―。
その刹那、目の前に鋭い閃光が走った。
「長い間、あなたを待っていました。」
古めかしいランタンのような物を手に提げた、黒い髪が印象的な女性がそこに立っていた。
「え?…あの、えーっと…、その…僕は「大丈夫ですよ。そんなに心配なさらなくても。」
「へ…?あぁ…は、はい…。」
突然の展開に、最早頭が付いていかない。
もともと頭は弱いほうだから仕方ないのだが。
「さあ、私に付いて来て下さい。」
そう言うと、長い黒髪が印象的な女性は、俺に手を差し出した。
…色白で、華奢で…綺麗な手だ。
「はっ…はい…。あ、ありがとうご、ございます…。」
彼女の手を握り、立ち上がると何故か自分の身体がとても軽く感じた。
左右に揺れるランタンが畦道のような場所を照らしていく。
どうやらここは、屋外のようだ。
夢か現実か、という疑問は未だ解けないが…。
15分程歩いたところで、彼女が口を開いた。
「さあ、入ってください。皆さんお待ちになっていますよ。」
それは、巨大な木のようだった。
ランタン1つの明かりでは、見える範囲は限られてしまうが照らされた大きな洞から、その巨大さは容易に想像出来る。
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