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「それから、おれ達は家族になった」
家族という帰る場所がなくなったのなら、お互いがなればいい。
レミはそう考えたのだろう。
「おれも始めはサエみたいに悩んだ。いくら今まで姉妹みたいに育ったといっても血が繋がっていないから、ホントに家族になれるのかなって。…でも」
レミはロムを本当の妹のように、そして子供のように育てた。
竜の子として、恥じないように。そして何より、ロムが寂しくならないように。
いつも、一緒にいてくれた。
「家族ってさ、帰る場所なんだ。だから例え血が繋がってなくたって、家族になれるんだ。だって、姉ちゃんはおれの家になって、ここまで育ててくれたんだから」
「帰る…場所…」
「サエだってそうだろ?」
「…………」
ー「姉さん!新しいお菓子作ってみたの、食べてみて」
ー「どれどれ?…うん、美味い。さすが私の妹だっ、よくやった」
ー「うんっ」
両親はいなかった。同い年の友達もいなかった。
だが、寂しくはなかった。
常に一緒にいてくれる家族が、帰る家があったから。
「だからさ、今まで通り信じてろよ。…な?」
「…うん」
ありがと。
サエはロムに呟いた。
それに小さく「おぅ」と返した。
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