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次の日の朝、教室へ行くと一人の男子生徒が教卓の前でまるで演説でもしているかのように語っていた。
「え・・・」
教室の扉の前で立ちつくしている少女をクラスメイト達は見つけると教室のどよめきが一段と大きくなった。
「・・・ちがう・・・私は魔女じゃない・・・」
*
「・・・シオン?」
その顔を見たのは何年ぶりになるのだろうか。
窓際に、金色の蝶とその羽によく似た髪の色をした少年が座っていた。
「うん、僕だよ」
少年は名前を呼ばれてイスから立ち上がった。
「・・・」
少年・・・シオン
「・・・シオンが私をここに呼んだの?」
「うん、そうだよ。・・・ごめんね、真珠」
寂しい顔を見せてシオンは頭を下げた。
「僕のせいで真珠はいじめられたんだよね・・・僕が真珠に話しかけたばっかりに・・・」
「・・・」
真珠は何も言わなかった。
*
シオンはイギリス生まれの11歳の少年だった。
母方の祖母が日本人のクウォーター。
その祖母が病気になり、母親と共に日本にしばらく在住することになっていた。
しかし彼は突然の不幸に見舞われた。通うはずだった小学校の前で事故にあったのだ。
その後しばらくして、シオンは通うはずの学校が少し気になってのぞいたところに真珠を見つけたのだ。
夕暮れの教室にただ一人黙々と本を読む一人の少女。
毎日毎日ただ独り。
「こんにちは」
「・・・誰?」
「僕はシオン」
「花籠真珠」
「花籠・・・魔女?」
「違う!真珠!!」
顔を真っ赤にして真珠は魔女と呼ばれたことを否定した。
「ご、ごめん」
「・・・ううん、私こそごめん・・・言い過ぎた」
「・・・ねぇ、いつも一人で寂しくないの?」
「・・・寂しい・・・かも・・・」
「やぱり?僕も一人で寂しかったんだ!ねぇ、良かったら友達になってよ」
「・・・うん、いいよ」
2人は次第に仲良くなった。
日が沈みかける時間、一人でいるときだけシオンはやってきた。
「真珠、何読んでるの?」
*
「真珠にはそれをどうしても謝りたかったんだ・・・」
「・・・謝ってほしいなんて思ってない・・・」
「・・・真珠」
やはり哀しそうなシオンの顔。
「真珠、僕もうここにはいられないんだ・・・」
「・・・そう」
「だから、君に謝りたかったのと・・・これ・・・」
シオンは座っていた机の中から一冊の本を取り出した。
昔、真珠がシオンに貸した一冊の本「オズの魔法使い」だ。
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