1人が本棚に入れています
本棚に追加
さすがにこの漫画アニメチックな展開としてはこの少女の口から出される台詞など予想がつくが…できるだけコレが現実でないことを願う。
しかし、少女は話し出す前に大きく驚きの表情を見せた。しばらくの間黙り込み、目を伏せていたがそのうち目線を俺に戻し
「まだご記憶が完全に戻られていないのですね…」
哀しそうな顔をして吐息をついて、ゆっくりと話し始めた。
「私の名前はロレーナ・キャロウィー・ディフリジオです。そして貴方はギデオン・ソヴィム・レングラント魔王陛下…」
「待て待て待て!もう1回、もう1回お前と俺の名前を言ってくれ!」
しょうがないと言いそうな顔をして
「私はロレーナ・キャロウィー・ディフリジオ。貴方はギデオン・ソヴィム・レングラント陛下…です。」
と、早口で少女…ロレーナが再び吐息をつく。
―早口言葉か!?絶対噛むだろ!この名前!!3回言えねぇよ!
などと心の中で叫びながらとりあえず3回暗唱。
「覚えていただけましたか?」
ロレーナはクスリと笑った。少し顔が赤くなった様な気がした。
「続けてよろしいですか?」
相変わらず丁寧で慎ましい言葉遣いのロレーナ。
「続けてくれ」
と少しうなずきながら言った。ロレーナも1回首を縦に振った。
「陛下は900年ほど前にお亡くなりになられました。しかし亡くなる直前、私や親しい者たちだけを集め、のちに他の体へと転生なさることを告げられました。その後、幾度も陛下は生まれ変わられました。ですが、戦や病のおかげでどの方も床に伏せてしまい体を離れて行かれました。そして、記念すべき10回目のお生まれ変わりが」
「俺?」
「はいっ!」
うれしそうにうなずくロレーナ。
「私、ロレーナ。ギデオン陛下が再びこの王宮に戻られることを心よりお待ちしておりました。」
目をランランと輝かせている。
「悪いが…その「ギデオン陛下」と呼ぶのはやめてくれ。俺の名前は神崎帝一だ。」
ここにきてやっと本名が言えてホッとしている俺の顔。
「すみません…そうでしたね…ご記憶がまだ…」
「その記憶ってのはなんだよ」
最初のコメントを投稿しよう!