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俺は博愛主義者なんてもんじゃない。 本気で人を好きになれないから 誰に対しても優しく愛を囁けるだけ。 本気で人を好きになれないから 誰も信用出来ない。 だから、上っ面だけで付き合う。 そんな俺が初対面の奴に 感情ぐっちゃぐっちゃに動かされてる。 人を好きになったことないから よく分かんないけど コイツとは純粋に一緒にいたいと思う。 そう思ったらちょっと触りたくなって 適当なこと言って手を伸ばす。 そしたら、相手からも手が伸びてきて 自分らしくもなくビックリして 手が止まる。 そしたら、すぐさま足が間に 入ってきて視界が回転する。 気づいたら逆に俺が押し倒されていて 貞操の危機を感じる。 けど、コイツならいいか と俺の頭は意味分かんない答えを 叩きだしやがって混乱しているときに 上にのかってる奴は、 騎乗位という態勢で真剣に俺の目を 見て俺が適当に言ったことに対して 返答しやがった。 それに、目を見開いて、少しして理解したら 笑いを堪えることなんてできなかった。 人生で初めて大爆笑した俺は 笑い過ぎる腹が痛くなるということを 初めて知った。 「ヒィー、アハッヒィー。苦しい、ハァハァハッ。 もう、完敗だ。」 意外にも、人はあっさりと 恋に堕ちる生き物だったらしい。
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