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コンコン
「失礼します。」
ドアを開ける。
普通はここで近くの先生に
「昨日編入してきた観月星夜です。
服飾科の先生はどちらにいらっしゃいますか。」
と聞くべきだろう。
しかし、その近くの先生が担任だと
確信してしまった今では口は動かない。
黒いスーツの模様はゼブラ。シャツは光沢のある白。ネクタイは赤と紫のマーブル。ポケットには、赤のハンカチーフをあしらってる。
あまりにも教育者にしてはファッショナブル過ぎる。しかし、似合ってる。更に言えば、派手ではあるが下品ではない。中々のセンスである。
「おい、お前何突っ立てる。授業はどうした。」
あ、見過ぎた。いつの間にか固まっていたみたいだ。
「すいません。あまりにも職員室が豪華で吃驚してしまって。」
「あん、そっか。お前が例の編入奨学生か。」
「はい。ですが例というのは何でしょう。」
「丸腰で無人島に入ってきた無知者。俺のクラスの奴らはそう言ってるぞ。」
かくゆう、オレもだが。と目の前の男は耳元で蔑むように呟いた。
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