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「今度三人で遠乗りに行かないか、セシア」
エミリアンが屈託のない笑顔をセシアに向けて、明るく誘った。
「おまえは遊ぶことしか考えてないんだな」
アレクは、呆れた表情を作って言ってやった。
「人生、楽しまなきゃ損だぜ?それに、遊んでいても、剣の腕はアレク親衛隊長より立つからな」
揶揄するような一瞥をアレクに投げて、エミリアンが痛いところを突いてくる。
「遠乗りか。いいな。テレアス湖のあたりなんか、どうだ?」
セシアがさわやかに笑って、さり気なく助け船を出してくれる。
セシアとアレクとエミリアン……幼なじみで親友の三人が揃うと、いつもこんな調子だった。
たわいのない会話の中に互いへの想いが交錯し、この二人と顔をあわせるたびにアレクは、自分たちが強い絆で結ばれていることを痛いほど感じるのだった。
エミリアンだって本当は、沈みがちなセシアの気を引き立たせようと、遠乗りに誘ったのだ。
空に響く轟音を、いち早く耳にとらえたのはセシアだった。
あでやかな美貌にかすかな憂慮を滲ませて、セシアはつかつかと窓辺に歩み寄った。
アレクとエミリアンも、競うようにセシアの傍らに歩み寄り、長いローブの裾を払って蒼弓の空を見あげた。
ゆっくりと、それが近づいてくる。
晴れ渡った空に忽然と現れたのは、銀色に輝く小型の宇宙艇だった。
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