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静寂の中
Ｍ子のキーボードを叩く音だけが響いていた
旦那になりすますのではなく
今度はもう１人の自分になりすますのだ
Ｍ子は登録作業を始めた
名前、出身地、血液型…
勿論、偽装だ
ただ…ひとつだけ
たったひとつだけ本当の事を打ち込んだ
[３８歳]
Ｍ子はサイトに出会いなど求めていない
ましてや、知らない赤の他人などに興味はない
画面の中で、【あの女】に見せつけてやりたいのだ
私の方が勝っていると…
旦那の浮気相手が自分よりも遥かに若かったら…
遥に年上だったら…
ある程度、受け入れる事も出来ただろう
しかし、【あの女】は
Ｍ子と同じ年齢だった
そこがＭ子にとっては、どうしても許す事が出来なかった
現実を思い知らされるからだ
Ｍ子は、自分の方が人気があると信じたいのだ
女の執念だろうか
妻としてのプライドなのか
誰にもその心境を計り知ることは出来ないが…
ﾀﾞﾚｶﾀｽｹﾃ👠
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