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この計画がうまく進めば、備中国の三村元親を含め、三家鼎立の状況を作り出すことが出来る。
隆景が抱く構想は、毛利家がこの三家に対して、外交と謀略を駆使して局面を操り、当面の安定を生み出すというものだ。
二家では、情勢を安定させることは困難であるが、もう一家を興すことで互いに牽制させ、三すくみの状態を作り出そうというのである。
やっと出雲国の乱による後遺症から、立ち直るための目鼻がつきはじめてきたところなのだ。
今が大事な時期だろう。
そんな時によりにもよって、またしても山中鹿介は、何か仕掛けるというのだろうのか。
これでは、輝元が頭を抱えてしまうのも、無理からぬこと、というものだ。
まあ、いずれにしても、叔父上なら上手く始末をつけてくれるだろう…
輝元は、ふと何者かの気配を感じて、部屋のすみを振り返った。
するとそこには、神妙な顔つきの近習が、手持ち無沙汰な様子で控えている。
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