輝元

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「あの林を抜けて、出口に軍勢を伏せましょう。敵が街道を通れば、要撃できるでしょうから。」 「分かった。それに賭けよう。」 元通が采配を以て、家来達に林を指し示す。 「よいか。あの林を抜た先で、待ち伏せをしかけるぞ。」 「おお!」 元通の命令一下、軍勢の先頭が、林に向けて舵を切りはじめた。 敵は、おそらく街道を通っているだろう。 だが、街道といっても、今はのっぺりとした雪の下だ。 街道も田畑も区別はつかない。 要するに何処を通っても大差が無いのだ。 そうである以上、敵がワナにかかるかどうかは、運次第といったところか。 しかしそれでも、今は出来ることをするしかない。 元通は、ブルンッと大きく首を振って、心に湧き上がってくる迷いを振り切った。 林を抜けると、パァッと視界が開け、一面の銀世界が広がっている。 林の出口で足を止めた神西勢は、息をひそめて様子をうかがった。
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