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さえぎる物のない街道上は、寒風が雪を巻き上げ、真っ白な視界に墨絵のような景色をぼんやりと浮き上がらせている。
その風が吹き過ぎると、白く霞んだ大地に滲むような人影が、うっすらと浮かび上がってきた。
「おお、丁度いいぞ…」
「これなら不意を突けそうだな。」
「ああ、そうだな。ならばヤツらを迎える支度を急がせよ。」
「ははっ!」
鉄砲足軽達が布包みを解いて、中から種子島を取り出す。
「うぅっ冷てえ…」
「ホントにな。手の皮が剥けそうじや。」
林の中は、吹きさらしの雪原ほどには、風が吹き込んでこない。
それでも、凍てついた羽子板金を握ると、手の平の皮膚が張り付いてしまいそうだ。
地面から盛り上がった雪の陰から、元通のうめくようなつぶやきが聞こえる。
「早よう来い…」
「種子島、構えよ。」
春続が、張り詰めた声で短く命じた。
雪を踏む音が聞こえるほど近づくと、敵の部隊編成も徐々に見えてくる。
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