輝元

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「馬から下りるべし!」 ガチャッ ガチャガチャ 残りの馬上衆達が、泡を喰らって馬から下りた。 のほほんと馬上で踏ん反り返れば、標的になるだけだ。 「ええい!下がれ下がれえ!」 「間合いを取れ!立て直すのじゃあ!」 別所勢はくるりと反転して、林から距離をとる。 「ヤツラめ、バラバラに押し寄せることの愚かさが、やっと分かったか!」 神西元通がにやりとする。 「だがなあ、ちいっとばかり遅かったようだな。」 「何時でも押し出せますぞ。」 中村春続が声をかけてきた。 元通が頷く。 「大炊介殿は存分に働かれよ!その隙にワシは、村の衆を助けに行くわい。」 「御意!」 春続が前に向き直った。 その目には、耐え難い怒りがたぎっている。 「今ぞ!押し出せえ!」 おおおおおおおおおお 命令一下、猛り立った武士達が、先を争って別所勢になだれ込んだ。
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