0人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は電車に乗っていた。
電車は、がたんごとんと音を立てていた。電車には、彼しかいないようだった。
「ここは・・・?」
その問いに返す答えはなかった。
彼がなぜこの電車に乗っているのか?彼は知らなかった。
彼は記憶を失っていたからであるからである。
少しの時間が経った時、彼の乗っている車両に、男が乗ってきた。
彼は、シワひとつないワイシャツを着て、その上に、制服のようなものを着ていた。
男は、彼の前に立つとじっと彼を見下ろした。男の陰で、彼の体はすっかり埋まってしまった。
「君はどうしてここにいるんだい?」
男は聞いた。
彼はその問いに答えられなかった。
最初のコメントを投稿しよう!