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男はそのことを、理解したのか
「そうか・・・」
とだけいって、彼に微笑んだ。
彼は男を見つめて、あなたは、と言って、
「あなたは、誰?」
こう続けた。
男は
「この電車の車掌をしているのだよ。」
と
「君は理解できないだろうけど・・・」
と、付け足した。
男はそれから、こう言った。
「君は、この電車のお金は払ったのかい?」
彼は首を横に振った。
男は、少しだけ頬の筋肉を緩めると、
「君の名前は?」
と彼に聞いた。
「僕は・・・」
彼の口からでる言葉は、なかった。
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