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男は彼の頭を撫でると、
「君はもう、お金を払ったんだね」
と言った。
彼は男の手で撫でられることを嫌がらなかった。それどころか、男の手がどこか懐かしい気持ちにさせられた。
そうして男は、
「君はどの駅まで行くのかい?」
と、彼に聞いた。
彼は
「この電車は、どこで止まるの?」
と聞いた。
男はこう答えた。
「終点でしか止まらないよ。」
「終点ってどこなの?」
彼は男に聞いた。
「しらない町だよ。」
男は自嘲気味に笑って見せた。男の声は急に細く小さくなった。
彼は終点に行ってみることにした。そこで何かが見つかるかもしれないから。
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