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「メール?」
やや怒った様子の麗奈に太一は首をかしげる。なんのことかわからないらしい太一に麗奈はさらに不機嫌になり、携帯電話を少し操作すると太一の目の前に携帯電話をずいっと突き出した。
「これよこれ!」
「近すぎて見えん」
前にもなかったかこんなこと、と思いつつ麗奈のかわいらしいピンクの携帯電話を手に取り顔から適度に遠ざけてディスプレイを見る。それは差出人が太一となっているタイトルなしのメールだった。本文は『またな』のみのたった三文字で構成されている。
「麗奈……」
「なによ?」
「おまえ……女子から告白されたのか」
「へっ!?」
麗奈は驚愕し携帯電話を奪い取るとディスプレイを確認する。そこにはさっき見せたメールとは別のフォルダにいれてあるはずの別のメール。本文には『同性なんて気持ち悪いって思われるかもしれないって思ったけど、それでもあなたが好きなの。付き合ってください』というようなものが書かれている。
「な、ななななに勝手に見てんのよ!」
「いや、適当に操作したら出てきたから」
「だからなに勝手に……!」
太一を殴るべく鞄を振り上げ、気づいた。
「……その手には乗らないわよ」
「ちっ、だめか」
「はぁ……。太一、みんなあんたこと心配してたのよ? わたしと綾はなんとなくわかってたけど唯ちゃん達は違うんだから。いきなりこんなメールが来て、それからなんの音沙汰もなし。心配しないわけないでしょ」
「まあ、な……」
ばつが悪くなり太一は頭を掻く。
「ほんとはいろいろ片づけるまで帰ってこないつもりだったんだよ。けど、その……向こうでケンカしちまってさ」
「ケンカ? ルーさんと?」
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