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疲れたーと叫びながら太一はソファに腰を降ろした。そこへルーが茶を入れたコップを持ってやってくる。
「今日もお疲れ様です。はい」
「サンキュー」
ぐびぐびぐびっと喉を鳴らして一気に飲み干し、親父臭く「ぷはぁっ」と言った。そんな主をおかしそうにくすくす笑い、ルーは太一の隣に腰掛ける。
「ひさしぶりの地球はどうでしたか?」
「ちょっとはちゃめちゃだったけど、まあ悪くはなかったな。いつでも帰れるってのは便利だし」
「そうですか。わたくしも麗奈さん達に会いたかったなぁ……」
残念そうに肩を落とす熾天使ガブリエル。そんな彼女の仕種に太一は首をかしげた。
「いつでも来ていいって言ったろ?」
「いえ、わたくしの部下が仕事をしろとうるさくて。ことあるごとに仕事仕事……まったく、ノイローゼになるかと思いました」
「苦労してるんだな」
(タルシシュも)
本音は心の内に留めて太一は言った。そうなんですよと太一の真意を知らないルーは頷くが、大方また仕事をせずに逃げるか寝るかしていたのだろうというのが太一の見解だった。つまり、ルーが悪いのだろう。
「そういえば」
「ん?」
顎に人差し指を添えなにかを思い出そうとするように天井を見上げてルーが太一に聞いた。
「以前にマスターが地球に帰られた時も、わたくしはほとんどいられなかったんですよね」
「ああ、優香とケンカして帰った時のことか」
「はい。よければ是非お話していただきたいです」
「そりゃ構わないぞ」
そうだな、と太一は壁の掛け時計を見上げる。時刻は午後の五時を回った辺り。まだ夕食を作るまで時間はある。
「じゃあ暇潰しがてら、少し話すか」
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