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やたら男勝りで声自体は綺麗な女なのだが口調は誰よりも男らしく、そして男のように羞恥心に疎い。
「あん? 気にすんなっての。減るもんじゃないだろ」
「それ普通、俺のセリフですよ?」
「ん? なんだ見たいのか?」
「ちがいますっ! なんでそうなるんですか」
黒の短髪に整った顔立ち、身長もそれなりでプロポーションも悪くない。ただし、性格に難がある。大半の生徒いわく「そこがいい」とのことだが、昔からの馴染みである太一からすれば少々やっかいな人間だった。
「やっとオレと戸籍を入れる気になったのか?」
そう、ことあるごとに太一と籍を入れたがるのである。菊池いわく「オレより強い男にしか興味はない」だそうで、太一と師匠を除けば彼女の回りには強い男はおらず、無論父親は省くので自然と菊池の目線は太一へと向かった。他の男子からすればうらやましいのだそうだが、実際菊池は太一をからかうのも楽しんでいるので精神的疲労がひどいのだ。
「とまあ冗談は置いといてだ」
急に真剣な表情になる菊池に太一も頬が引き締まる。
「オマエ、もう体は大丈夫なのか?」
「……へ?」
「あん? ずっと大風邪ひいてて寝込んでたって聞いてるんだが」
「あ、ああ、そうなんですよ。もうばっちしですこの通り」
どうやら太一の母親がそう連絡していたらしい。消えた息子に対して寛容というのか、あるいは無頓着というのか……。
「オマエも忙しねーな。ずっと前なんか行方不明になってたそうだし」
「あ、あははははは……」
実はいまも行方不明と同じです、とは言えない。
「まあ風邪が治って学校来れるようになったのはいいとして……なんだその制服は。ウチの学校のじゃねーだろ」
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