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「いや、何というか…」
「否定はしないんだね~」
にやにやと笑いながらそう言ってくる海。まぁもとから言おうと思っていたことだし言うか。
「…俺、告白されたんよ。」
そう言うと二人は凄く驚いたようで唖然としていた。まぁ俺だしな、しょうがないよな。
「だっ、誰に?!」
真っ先に反応したのがやっぱり楓。若干目がキラキラしてるよ、気持ち悪い。
「近くのさ、進学校あるじゃん。」
「おう。」
「そこの、…ほら…」
「なんだよ?」
「…そこの、男子に。」
二人は再びぽかんとすると直ぐに爆笑しはじめた。俺は笑えないっつーの!!
「あはははっ!流石の俺でも男から告白はないよー!」
「え?なに?ネクタイとかきっちり締めたやつにさ、『僕、君が好きなんです』とか言われたわけ?ぶふっ」
「いや、普通にイケメンの…」
二人はぴたっと笑うのをやめると俺に質問攻めを始めた。男のこときいてどうするんだよこいつらは!!
「そいつってさ、でかかった?」
「まぁ、俺よりは。」
「髪型は?」
「黒髪の短髪…」
「眼帯してて青目?」
「あ、あぁ。」
「制服着崩してた?」
「おう、すごく。」
なんでこんなこと聞くんだろう、っていうかなんでわかるんだよこいつら。そんなことを思っていたら二人がハモって名前を出した。
「それって沙織時雨だよ!」
「沙織、時雨?なにそれ、両方名前じゃん。」
「いや、沙織は名字で時雨が名前。」
「へぇー。なんでお前らそいつのこと知ってんの?」
「逆に何でお前知らないんだよ?!沙織と言えばこの辺で有名な喧嘩番長だぜ?しかも超モテる!(女子に)」
知らなかった。喧嘩番長…俺そんなやつに告白されたんか…地味に怖ぇ…。そんな俺の心の中を察してか、海は俺にこう言った。
「そういえば、沙織時雨って何で有名だか知ってる?」
「いや…」
「あの子、天才的に頭が良いのと、」
「それと?」
「財閥の令嬢なんだよね。」
「はぁ…」
財閥の令嬢が喧嘩番長、か。金持ちが不良てよくあるよな。金あるのになにが不満なんだ…って令嬢?令嬢って、もしかして、え?
「あいつ女なのか!?」
「そうだよ~。」
ぽりぽりとポッキーを食べながらそう答える海。そんなこいつを見てほんとに他人事だなぁと思いながらも告白してきたのが男じゃないと知って内心ほっとした。
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