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「あ!持ってきて下さったんですか!?」
ペンダントを受け取ると安堵の表情を浮かべてシンディの両手を握った。
「ありがとうございます!大事な物だったんです」
「えっ・・・あ、いえ。どういたしまして」
美女は再び急ぎ足で更に奥へと戻って行った。
シンディはしばらくその場に立ちつくした。
「・・・あれ?・・・なんで・・・また・・・」
また急に息苦しくなった。
息切れなのではない。心臓がまるで糸か何かで絞られている気分だ。
「・・・」
静かに深く息を吐くと大分治まった。
*
「ディックさん・・・」
ディックの姿を見つけると声をかけた。
「あ!シンディさん!!」
ディックが駆け寄ってきた。
「何処へ行ってたんですか?」
「すみません・・・また・・・ご心配おかけして」
シンディの声が弱くなっている事に気がついたディック。
「シンディさん・・・大丈夫ですか?気分が・・・」
「平気です」
平静を装い、笑顔を向けるシンディ。
「ならいいんですが・・・」
やはり心配そうにシンディの顔を見る。
「もう中で座れるんで、入りましょう」
「はい・・・」
シンディはディックの背中を追った。
これ以上迷惑をかけないように・・・
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