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シンディの目は真っ直ぐに“ジュリエット”へ
他の女性達は大抵が“ロミオ”を見ていた。
“ジュリエット”も確かに美しくはあったが“ロミオ”もさすがに負けてはいない。顔のよく整った美青年。
女性ならば、その男性へ目を向ける筈なのだが・・・
シンディは確実に“ジュリエット”に釘付けだった。
*
物語も終盤を迎えた。
仮死状態のジュリエットを死んだと思いこんでしまったロミオは毒薬を飲み死ぬ。
そして再び目覚めたジュリエットもロミオの死を知り彼の短剣で胸を刺して死んだ。
「「誠にありがとうございました。またのお越しを心よりお待ちしております」」
舞台の幕が閉まり出すと同時に役者が頭を下げた。
当然シンディは“ジュリエット”を眺めていた。
“ジュリエット”もいつからなのかシンディに気がついていたらしくこっそり手を振ってきた。
「!!?」
シンディは驚き肩をふるわせた。
その間に幕が閉まり終えて場内の拍手も小さくなった。
*
「いやぁ、面白かったですね。最後は予想してませんでしたけど・・・」
立ち上がりながらそう言った、ディック。
「・・・」
反応がないシンディ。
「・・・あの、シンディさん?」
「はい」
「あの~どうなさったんです?」
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