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ある国の森の湖畔に2人の影があった。
「「おお、ロミオ、貴方はどうしてロミオなの」・・・アホくさッ」
「まぁ、シンディ。これは巷で人気の舞台台本なのですよ」
「へぇ~」
親友に言われて素っ気なく返事をした。
「シンディも18歳になるんでしょう?恋愛などに興味はありませんこと?」
「恋愛ねぇ・・・」
無造作に垂れおろした赤褐色の髪をかき回しながら生返事。
シンディ・クオリア。18歳。
有名な貴族の娘だ。しかしながら、周りの娘に比べかなりのお転婆。父親に似た冒険心。強い正義感が災いしまるで少年の様に育った。
「まぁ、シンディったら御髪が・・・」
親友のマリア・アンゼリーク。
同じく貴族の娘でシンディとは正反対で。大人しく少女らしい娘。
マリアはシンディのバサバサと広がった髪を梳かしはじめた。
「いいよ、マリア!どうせまた馬に乗って返ったらぐしゃぐしゃになるし」
シンディは軽くマリアを振り払った。
「そんな事を・・・せっかくシンディは美人ですのに・・・」
「またまたぁ、買いかぶり過ぎだって」
シンディは手を振りながら笑った。
「あら、本当ですわよ。でなければ、皆さん貴女の周りに集まったりしませんわ。」
「主に女子ね・・・」
ため息が2人から漏れた。
「しかたありませんわ。シンディはいつも殿方のような格好で出歩かれるんですもの!」
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