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何も言わなくなったシンディに対して、マリアも口を接ぐんだ。
しかし吐息をついて言った。
「シンディ、乗馬に行きたいですわ」
「うん!行く行きたい!」
シンディもすぐにその案に乗った。
シンディの趣味である乗馬でストレスを発散させようという考えらしい。
「では、1時間後に中庭に集合ですわ。遅れないでくださいね」
シンディの目が輝きだして、マリアも笑みを浮かべる。
「分かった!」
シンディも楽しそうにそう言った。
*
マリアが部屋から帰り、シンディはすぐに乗馬服に着替えた。
いつもの深緑のジャケットに腕を通す。
それから部屋を飛び出して馬小屋へと向かった。
庭の隅に馬小屋がある。
母親の趣味のせいで、小屋の周りまで花でいっぱいになっている。
馬小屋へ直線距離で行く間には花壇が3つほどあるが、大して大きくもないので軽々飛び越えた。
花を蹴ってしまうと母親にこっぴどく怒られてしまうのでそこだけには気を払う。
「レオン!」
愛馬の名前を馬小屋に入るとすぐに呼ぶ。
入り口近くの壁に掛かっている馬具一式を担ぐようにしてレオンの元へ。
それから思い出したかのようにブラシを取り出した。
「じっとしてろよ・・・レオン」
手で首元をなでなら、空いた片方の手でブラシをかける。
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