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スピードを先ほどよりもずいぶん落として走らせた。
*
湖畔に着いて、地面に足を下ろすと足下からひんやりした空気が水辺から柔らかく吹いてきて、足を水辺まで運ばせた。
屈み、水面をのぞき込むとボサボサに広がった髪をした自分の姿が映った。
慌てて手で波紋を作り、自分の姿を消すと、手櫛で髪を梳いた。
いつもなら気にしない事なのだろうが、無性に恥ずかしい気持ちになった。
「・・・」
再度水面を覗いて髪型を確かめると満足そうに頷いた。
ちょうど近くから馬の蹄の音が聞こえてきた。
「お待たせしました」
案の定、マリアだった。
アレンと話していたのでマリアとの距離も縮まっていたのでマリアもすぐ湖畔に着いたのだ。
マリアが馬から降りるのに手を貸した。
「ありがとうございますわ」
「どういたしまして」
地に足を着けてすぐ木陰に座り込んだマリア。
「疲れましたわ・・・」
そう言うが、あくまで振る舞いは優雅だ。
シンディも隣に腰を下ろす。
「お疲れ様」
「どうしてシンディはあのようなスピードを出せるのか不思議ですわ」
「そんなことない・・・って・・・」
先ほどのことを思い出して語尾が小さくなる。
「?何かありましたの?」
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