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「・・・なんでもない」
顔をそらしながら言うシンディ。
「・・・それが、なんでもないという顔ですの?」
マリアが続ける。
「お話になりたくないのでしたら、深くはお伺いしませんが・・・」
「・・・あのさ・・・マリア、」
シンディは小さい声で話し出した。
*
「・・・そうでしたの」
「うん」
頷きながら答えるシンディ。
シンディは舞踏会から続く胸の痛みと想いについて親友に打ち明けた。
「しかし、その胸の痛みは今後もなかなか治まらないと思いますわ」
「え、なんで?」
「それは困る」と言わんばかりにシンディが言った。
「仕方ないことなのですわ。もし、すぐにでもどうにかしたい場合はその、アレン様にあわれるべきだと思います」
最後にマリアはクスリと笑った。
「あッ、アレンさんと!?」
「はい!」
マリアはまた小さい握り拳を作った。
それからシンディの手をしっかり掴むと彼女の瞳を見て言い放った。
「マリアはいつでもシンディの味方ですわ。いつでもわたくしを頼ってくださいな!」
「・・・」
再び微笑んだ。シンディはマリアに話したことで心が少し晴れたらしく、1度笑って見せた。
「ありがと、マリア」
ただ、シンディが1人でその気持ちに気づくのはまだ少し先の様に思えた。
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