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「だって、ドレスやスカートなんか似合わないし。動きにくいし・・・」
確かに今の彼女の格好は深緑のジャケットが目を引く乗馬服。
髪も垂らしたまま。「男性だ」と言えば疑わずとも認めてしまう格好だ。
「お綺麗になさっていれば、殿方は放って置きませんわ」
マリアはシンディの後ろに回り再び髪を梳かし始めた。
今回はシンディも何も言わないようだ。
「ですから、今日の舞踏会にはちゃんとドレスを着て出席しましょうね」
「・・・考えておく」
少し恥ずかしそうに俯いた。
マリアは笑顔で返事をして、髪が梳かし終わった。
*
「もうこんな時間ですわ。わたくし向こうに馬車を呼んでありますので」
「送ろうか?」
「大丈夫ですわ」
「そう。じゃぁまた後で」
「ええ。お着替え・・・お手伝いにいきますね」
「・・・」
苦々しい笑顔だけで返事を返した。
マリアもクスリと笑った。
その後、互いに手を振り別れた。
「待たせたな、レオン」
シンディはそう言いながら愛馬のレオンを撫でた。
レオンも顔をシンディに撫でた。
彼女はレオンに飛び乗って手綱を引いた。
徐々にスピードを上げながらレオンは主人を乗せて森を駆け抜けた。
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