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「どうした・・・って何がだよ?」
「いつもと違うぞ・・・顔がにやけている」
「嘘だろ!?」
そう言って眉を上げて強ばった表情をつくるアレン。
「にやけてはないが・・・」
「お前なぁ・・・」
「足が地についてないぞ、アレン」
「・・・そんな風に見える?」
「見えない方がおかしい位だ・・・」
冷静な装いで指摘してくるランスロット。
「・・・まぁ、俺はお前の事に細かくは言わんが・・・」
「・・・」
ランスロットがそう言って話題が途切れた。
*
にぎやかな街と対照的雰囲気の少し淋しげのある花屋。
淋しげがあるとは言っても色とりどりの花は店の奥から表にまであふれ出すように生けられている。
アレン達はためらいなくその花屋に入っていく。
その奥の方から、白い髪を束ねた細身の老婆が顔を出した。
優しそうに目を細めると、
「アレンさん、いらっしゃい」
「こんにちは、カーデルさん」
「ランスロットさんも・・・いらっしゃい」
「・・・」
ランスロットも声には出さなかったが、少し口元にらしくない笑みを浮かべて軽く頭を下げた。
老婆・・・カーデルは満足そうに頷くと2人を連れて、奥の階段を上った。軋む音を立てながら3人は階段をゆっくりと上った。途中、カーデルが口を挟む。
「今日もお二人にたくさんの贈り物が届いてますよ」
そう言う彼女の顔はとてもうれしそうだ。
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