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それから思い出したという顔をしてポケットからチケットを取り出した。
「これ、使ってください」
差し出されたチケットを見てカーデルはうれしそうに笑った。
「こんな物まで頂いて・・・本当に悪いねぇ・・・」
そっとチケットに手を伸ばし受け取った。
*
「で、片付けは終わった様だな」
先ほどの子猫を抱いてランスロットはアレンの部屋に顔を出した。
あれからランスロットとカーデルは1階の奥の食卓でお茶を飲んでいた。飲んでいたのはダージリンか、少し甘みのある香りが漂ってきた。
「人が片付けてるのに・・・お茶してただろ!」
「よくわかるな」
少々あきれ顔のランスロット。
「さて、片付け終わったんならさっさと着替えろ。練習に行くぞ」
「もう?少し休ませて・・・」
「駄目だ。遅れるだろう」
アレンは渋々部屋の隅に置いてある洋服ダンスに手を伸ばす。
「俺も着替えてくる・・・」
ランスロットもそう言って隣の部屋へと入っていく。
しばらくしてランスロットが着替えて出てきた。
あまり変化のない地味な服装。
ランスロットが部屋を出ると、子猫“ジュリエット”が足下を追って歩いてくる。
「アレン、入るぞ!」
唐突に扉を開ける。
「びっくりするだろ!ノックぐらいしろよ!」
長いブルネットが目の前で揺れた。
「お前が遅いのが悪いんだよ。外に出たら言葉遣い気をつけろよ」
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