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腰に青いリボンが巻かれたシンプルなドレスとつややかな長いブルネットの美少女。
「分かってる」
「バレるなよな。お前が男だってしれたら大問題だぞ“アレン”」
「お前が“アレン”って呼ばなきゃバレないよ」
「そうか」
ランスロットと話す美少女。
彼女は紛れもなくアレン・ジョンストン。
カーデルがちょうど部屋を覗いた。
「あら、もう着替えたのね。ホントに綺麗だわ“ジュリエト”と“ロミオ”。舞台が楽しみね」
「はい。じゃあ、そろそろ出ますね」
「ええ、明後日、楽しみにしておきます」
2人は部屋を後にした。
階段を下りていく2人をカーデルが何も言わずに見送る。
“ジュリエット”が彼女の足にすり寄って来た。
*
「アレンさんと・・・会う・・・」
「何回言っていますの?」
何度もアレンの事を口にするシンディにマリアは笑って言った。
「だって・・・」
日も傾きはじめ、2人は湖畔を離れた。馬を歩かせながらその横を手綱を持って歩いた。
「だって・・・何でアレンさんと会わないと駄目なのか分からないし」
「それは、会えば少しずつ分かりますわ」
シンディは少しふてくされた様子で足下の小石を軽く蹴った。
ちょうど先ほどアレンとぶつかった十字路が目線の先に見えた。
「あ・・・」
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