舞踏会にて

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* 日も西に連なる山脈に顔を隠して、シンディの屋敷に人が増えてきた。 優雅な曲がダンスホールを包んでいる。 その曲がかすかに聞こえるシンディの部屋。 年頃の貴族令嬢の部屋とは思えないほど簡素だ。 唯一飾り気のある鏡台の前にシンディは座らされていた。 「もう人が集まってきてるようですわ」 マリアが鏡に映ったシンディに向かって言った。 シンディはそれに返さず、ただ落ち着きなさそうにしていた。 「マリア・・・このドレス・・・選んでくれたのはうれしいんだけど、肩が出過ぎじゃない?」 「とても美しいですわ髪も綺麗にまとめましたし」 手を合わせて微笑んだ。 シンディのドレスはマリアのものに比べて大きく肩を出してあり、装飾も派手だった。 シンディは大きく出た肩をさすりながらマリアに顔を向けた。 「やっぱり、もうちょっと違うドレスを・・・」 「いけません」 マリアは一歩と譲らないようだ。 断固拒否という口調でシンディに言った。 「・・・」 あきらめたかのようにシンディは黙り込んだ。 「さぁ、ダンスホールに行きますわよ!」 シンディの手を取り立たせると舞うように部屋を出た。 久しぶりの友人のドレス姿に心を躍らせた。そのままダンスホールへと直行した。
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