舞踏会にて

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「まぁ、マリアさんですわ!」 「お隣にいらっしゃるのは・・・もしかしてシンディ様でわ!?」 「本当!ドレス姿もお美しいですわ」 などといった女性の声がする間を抜けて歩いた。 「マリア!やっぱりいつもより目立ってる・・・」 「褒めてくださっているのですから、恥じらう必要はありませんわ」 小さめの声で会話をした。 「マリアさん」 ふと、背後から男性の声がした。 「はい」 にこやかにマリアは振り返る。男性の顔を見るとシンディから少しだけ離れた。 「すぐに戻りますわ」 「わかった。バルコニーで待ってる」 そう言われてシンディは近くのガラス戸に手をかけた。 「・・・」 なるべく人目につかないように隅の方へ。 季節は春半ば。夜風が冷たく、肩が冷える。 「寒い・・・」 そう呟くと肩が重くなった。肩にあわて手をやると男物の上着が。 「えっ」 後ろにはすらりと背の高い青年が立っていた。 「寒いのでしたら、中に入ってはいかがですか?」 優しい声でそう言った。 「あ・・・ありがとうございます」 男は微笑んだ。 「いつもズボンを履いていらっしゃりますよね?」 「はい・・・」 そう言われて急に顔が赤くなった。 「それもよく似合ってますよ」 「えっと・・・わ私の趣味ではないんですけど・・・」 「でしょうね」 男は笑いながら答えた。 「僕、リチャードです。ディックって読んでもらってかまいませんから」 「・・・ディックさん」 「はい」 「あ、えっと私は・・・」 「シンディさんですよね?知ってますよ」 「ありがとうございます・・・」
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