舞踏会にて

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マリアを見つけて腕を掴んだ。 「キャッ!し、シンディ?」 腕を掴んだまま中央の階段まで走って行った。 階段を駆け上がり、踊り場まで行くと足を止めた。 「どうしたんですの?」 「どうしよ・・・一緒に劇見に行くことになった・・・」 「え・・・」 青い顔で言うシンディの言葉にマリアは一時停止。 しばらくしてきらきらとした目なった。 「そ、それって男性にですの!?」 唇をかみながらシンディはうなずいた。 「すばらしいではありませんか!」 「ちょ、大きい声で言わないで!」 「どの方なんですの?」 マリアが顔を近づけて言った。 「あの壁際のひと」 シンディが指さす方向にマリアが目をこらす。 そして再び高い声で言った。 「まぁ!リチャード様ではないですか!」 「?なんで知っんの・・・」 「ええ!?シンディったらご存じないの?」 「聞いたこともない・・・」 「リチャード様は王族の親類ですわ。お優しくて格好いいと評判のお方ですのよ」 「そうなんだ・・・」 まだよくわかってない口ぶりのシンディ。 「もぅ!何がそんなに不満なんですの?」 「何って・・・」 王族貴族。イケメン。人々の憧れ。そんなものにらしくなく興奮気味のマリアの姿に引け腰のシンディ。 しかし、そんな彼女を見てさらに不満を漏らすマリア 「うらやましいですわ」 「そんなこと・・・出来ることなら変わってあげたいくらい」 喜ばしい筈の言葉にも非常識感を感じよろよろと後ずさった。 「シンディ・・・なんてもったいない・・・」
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