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小さな手で小さい握り拳を作ると熱いまなざしを送ってくるマリア。
「きちんと一緒に行くべきですわッ・・・」
力みすぎたのかよろけた拍子に階段から足を滑らせた。
「マリアッ!!」
シンディがマリアの手を引っ張った。
「きゃあ!!」
高いマリアの悲鳴と共にマリアの体を引っ張り込んだ。しかし引っ張った弾みで次はシンディの体が中に浮いた。
いつものシンディならばこんなヘマはしなかっただろうが、なれないドレスが足を引っ張った。
「あ・・・」
その瞬間に強く腕を掴まれた。
そのまま腕の中へ引っ張り込まれる。
大きい音を立ててシンディと“誰か”は落ちることなく倒れた。
「シンディっ!!」
青ざめた顔でマリアがシンディに歩み寄った。
「シンディ!大丈夫ですの!?」
「だ、大丈夫・・・マリアは・・・」
「わたくしは何ともありませんわ」
良かったと言わんばかりにシンディはため息をついた。
それから自分を助けてもらったことに気がついた。
「すみません。お怪我はありませんか!?」
ほとんどシンディの下敷きになっていた青年が頭を上げた。
「大丈夫です・・・それより貴女は・・・」
「大丈夫です!」
「良かった」
息を吐き出すかのようにそう言った。
青年の体を起こすのに慌てて手を貸しに入る。
「ありがとう」
青年が顔を上げた。珍しいほどの美少年だった。白い肌にブルネットがよく似合う。
「・・・」
シンディは息をのんだ。
しばらくして騒ぎを聞きつけた人たちが波になってやってきた。
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