第四章 戦の前に

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   大妖のどす黒い妖気との葛藤は、数時間に渡った。  呼吸法と精神の集中で抑え込むも、ふとした事で妖気は膨れ上がり、大入道の精神を飲み込もうとする。  だが、ようやく完全に抑え込む事に成功した。  座禅を解いても、妖気は膨れ上がらなくなった。 「いやいや、大妖の妖気など大した事は無いと、高をくくっていたが、これ程までとは……」  大入道は、苦笑いを浮かべた。  大妖が、何よりも強く無敵である事は分かっていながら、その妖気を受け入れたとして、操られるとは思っていなかった。  だが、ここに来てその妖気の手強さを実感する。  牛頭と馬頭から受け取った妖気より、体内で何倍も膨れ上がっている。  事実、そうなのだろう。  大入道には、密かなる企みがあった。  それは、大妖をこの妖界で討ち滅ぼす事。決して妖界と人間界を、征服させたりはしないつもりなのだ。  それを、いつから思い描いていただろうか。  三百年前。  折原の手の者が、大妖を封じた時。  いや、それよりも遥かに昔。
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