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「ふう…助かった…で、トイレだったな?トイレなら」
「あ、いえ!大丈夫です!あれ嘘なんで」
「え?」
キョトンとした顔で一平を見る藍、するとその目が潤んできた
「え!?め、迷惑でしたか!?」
うろたえる一平を手で制すると、涙ながらに言った
「違うんだ…久し振りにまともな人が来たからちょっと感動してしまってな…」
服の袖で目を擦り、涙を拭う藍
「…ここってそんなに…ひ、非常識な人が多いんですか…?」
非常識と言う際、少し戸惑ったがそのまま言いきった
「人里の人達はそんな事無いんだが…早い話紫様みたいな性格の妖怪が何十人と居る、と考えてくれれば良いかな?」
「…?別に…そこまで酷くない気がするんですけど…」
言われた通りに想像してみても、そこまで酷いものとは思えなかった、紫さんだって綺麗で良い人だし…
「…はぁ…一平は紫様を良く知らないからそう思えるんだな…まぁ…いずれわかるよ…」
一平がそう言うと、藍はため息をついた後、少し肩を落としてそう言った
「とりあえずもう戻ろう、あまり遅いと何をされるか…」
「という会話を聞かれているかもしれないという予想はしなかったのかしら?」
後ろで声が聞こえた瞬間、藍の体が硬直した、尻尾まで上を向き、ギギギと顔をひきつらせながら声の方へ向いた
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