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「で、お前は何者だ?」
少女が食事を終えて一段落。朔夜が彼女に問うたが、
「わからない」
「は?」
思いもよらぬ返答に朔夜が少々気の抜けた声を上げた。
彼女は嘘でもごまかしでもなく、どうやら本気で言っているらしい。瞳が不安げに揺れる。
「自分のことは一切わからない。今までいた環境も全て」
「ここがどこかわかるか?」
「あなたが《鴉》の人間なのはわかる」
厄介なのを拾ってしまった。舌打ちをしそうになったが、彼女が先程外そうとしていた包帯に目を遣る。
「見せろ」
「ひっ!?」
少女の腕を掴み、首に巻いていた包帯を外す。そこに傷はなく、綺麗な白い肌があった。
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