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少女が袋から取り出したのは黒いワンピース。胸元や袖、裾などにリボンやらレースが施されている。
がさごそと着替え、ベッドから立ち上がった少女は、追い出した朔夜を部屋の中に入れた。
(へえ……)
にやりと笑う朔夜に少女は気付かない。ペこりと頭を下げて食事と服の礼を言う。
「俺の名は霧生朔夜。《鴉》の幹部だ」
「私は──、」
「宮音莉玻[ミヤネ リハ]。それが今日からお前の名前だ」
部屋の外で考えていたようだ。「りは」と少女が反復する。
「ありがとう」
その表情がふわりと緩み、はにかんだ笑顔を零す。何とも素直な子だ。
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