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朔夜は目を覚ました少女を見て僅かに息を呑んだ。
腰まである髪は見事な金色に輝き、白い肌とよく合っている。長い睫毛にすらりと通った鼻梁、紅の瞳は心の奥底を見抜くような光を放っており、高価なアンティークドールのように美しい少女だ。
何より華奢な身体つきにも関わらず、出るとこは出ているのが良い。
「飯だ。食べろ」
観察を終えた朔夜が差し出したのは、彼が持ってきた野菜がたっぷり入ったシチュー。
「やっ……」
しかし少女は真紅の瞳を限界まで見開いて、朔夜から遠ざかろうとベッドに接している壁まで後ずさる。
「おい──」
「嫌っ!」
差し延べた朔夜の手を少女が弾いた。
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