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朔夜は驚いて弾かれた自分の手と少女を見る。
「……っ………」
少女は朔夜を映しているのかいないのかわからない、その瞳を恐怖の色に染め、華奢な身体を竦ませ小さく震わせる。
しかし朔夜はほんの一瞬だったが、少女が懐を探ろうとした動きが気になった。
あの動きは体に身についた行動だ。彼女が何らかの訓練を受けていたと見て取れた。
「何もしねえよ。とりあえず食べろ」
朔夜がシチューをベッドの上に置く。
「これ……?」
少女が朔夜を窺うように見るので、朔夜は黙って頷く。
「…………」
そして恐る恐るシチューの入った皿に手を伸ばした。
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