大切な家族"シロ"

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シロは何一つ変わってなかった…… 変わってしまったのは僕だけで、シロは以前と同じように僕の事を"家族"として一緒に居る事を望んでいた。 そんな温もりを感じながら僕達は茶の間のコタツの中で一緒に横になる事が多くなった。 まるで今まで離れていた空白を取り戻すかのように…… だけど、その時間は限られる…… 相変わらず、僕は部活を引退した後でも後輩の指導や就職活動で帰ってくる時間は遅くて、休みも同様に家に居ない…… それでも僕が家でゆっくりしているとシロは自分の定位置のように僕の隣に横になっては安心したように眠っていた。 たまには僕の腕を枕にして、ヨダレでベトベトにした事もあったけど…… それでも僕にとってはその時間が素直に嬉しかった…… そして、僕が高校を卒業して就職して社会人になる頃にはシロはすっかり家の中に居る事が当然のようになっていた。 だけど、それは老犬のシロがもう外では飼えない事を示していた…… .
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