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2010年、4月 入学式当日。 時刻は8時20分 「…完全に遅刻だ」 私の家から高校まではどう頑張っても30分はかかる。 カーテンを開けると眩しい日差しが私の網膜を刺激した でもその眩しさは心地好いもので、 目を閉じても瞼がほんのりオレンジ色に透けている。 あまりの心地好さに再びそのまま横になろうとした時、 階段を駆け上がる聞き慣れたうるさい足音。 「姉ちゃん!!!!!今日入学式だろ!!!なにやってんだよ!!!!!」 この朝っぱらからうるさいくらい元気なのは弟のハヤテ。 てか… 「……あんたこそ学校はどうしたの?」 私は大きな欠伸を一つした後で目を擦りながら問い返した 「えっ、いや…今日はちょっと足が痛くて登校できないから…」 「あんた今階段駆け上がってきたでしょ」 嘘の下手さにふっと笑って返すとハヤテは頬を赤く染めながら 「うるせー!!!早く学校行けよな、ばかっ」 とムキになりながら部屋へ戻った。 「…ずる休みも義務教育までだからいいんじゃない」 ハヤテが出て行った後でぽつり独り言をはいて着替えを始めた。 そう、今日から高校生。 高校生には各教科ごとに単位というものが存在する。 休みすぎると単位がなくなる 単位がなくなると留年か中退せざるをえなくなる 中3の冬、こう担任に説明されてから高校は休んでは行けないところだと考えるようにした。 元々朝は苦手なタイプなので少し大袈裟に考えた方がいいと思ったからだ …まぁ、考えるだけ考えてはいるが緊張感というものがこれっぽっちもないせいで今日遅刻したわけだけど。 重い足を怠そうに運んで居間へ行くと用意されてあった朝食を押し込んで家を出た。
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