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どうせ遅刻だからと通い慣れない通学路をぼんやりと眺めながらゆっくり歩いた
散歩をしているおじいちゃんに抜かされるくらいに遅いペースで。
ふわっと風が私の前髪を浮かせる
それと同時に安心感を得られる春の匂いがした。
――――――
学校に着くとどこのクラスにも生徒はいない。
そっか…私遅刻だもんなぁ
溜息と同時に肩を落としながらも渋々体育館へと向かった
不安でいっぱいになりつつも重い鉄でできた体育館の扉を開けるとやはりほとんどの生徒が驚いた表情で私を見つめた。
正直注目を浴びるのが元々苦手だった私には辛い視線に思えた
私を見た生徒達がざわめき始めるとステージに上がり、挨拶途中だった先生が笑顔で私を手招きする。
50代後輩の若々しい女性だった
なんの根拠もないが私にはその人が校長先生だと思った
「はい!一年生の皆さんはこれで全員ですね!」
どうやら遅刻してきたのは私だけだったみたい……いや、当たり前か
全員の注目が私から先生へと変わろうとした時、
まだ生徒の列に並べずに立っていると大きな音をたてて私の後ろにある扉が開いた
再び生徒が全員こっちを向く
それと同時に振り返ると
そこには背丈が高くスラッとして顔立ちの整った男子生徒が現れた。
私とは違いその男子生徒は自分を見ている全員に向かって
「遅れてすいませーん!!」
と愛想のいい笑顔を振り撒いた。
その一言で体育館の緊張感が一気に溶け、クスクスと小さな笑い声から暖かい雰囲気に変わった。
男子生徒は私に視線を変えると
「遅刻仲間だ♪」
と囁いて悪戯な笑みを浮かべ、私の手を引いた
躓きそうになりながらもついて行くと、自然に生徒の列へと並べた。
「あ、ありが……っ」
トクン
お礼を言おうとした時、
何かが胸の奥に突き刺さる。
そして彼は私を見つめると
「仲良くしようぜ」
と柔らかい笑顔を見せた。
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