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「・・・もう帰らないと、怒られるかなぁ。でも、その前に・・・」
少女は先程の言葉を無視し、剣士の方を向く。
「君はもっと強くなりそうだね。また戦いたいよ」
「・・・何?」
「この戦いはどう見ても僕の勝ちだよね?だから、それも込めて君にはある代価を払ってもらうよ」
「・・・・・・?」
剣士は言っていることが分からず困惑しているが、少女はこれも無視し、剣士の仲間達の方に目をやる。
「代価は君の仲間だ。君の仲間を消すよ?」
「なんだと?!」
「安心してよ。消すって言っても、死ぬってわけじゃない。君が僕に勝てば戻ってくるよ、もちろん生きた状態でね」
「・・・そんなことさせない!」
剣士は剣先を少女へと向ける。
「そう言うと思ったよ。けどね、これは君たちが弱いから悪いんだよ?」
少女も剣士へと手の平を向ける。
そこに凄まじい力が集まり始める。
少女の姿がその力によって陽炎のように揺らめく。
何が起こるのかは目に見えている。
それが放たれれば、完全に勝負は決まる。
剣士は少女へと一気に間合いをつめようと、地を蹴る。
【スタン!間に合わないぞ?!避けろ!!】
「間に合わせて見せる!」
どこからか聞こえてきた声に剣士・スタンはそう答える。
避けようにも避けられないことは分かっていた。
この少女の昌術らしきものは的確に命中するのを体験したから。
【ならば・・・!】
スタンの剣・ディムロスが炎に包まれる。
一気に決着をつけるために。
「バカだね・・・。」
少女の嘲る声がスタンの耳に微かに聞こえた。
2つの凄まじき力がぶつかり合い、あたり一面猛烈な光に包まれた。
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