全てを失った者

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「あーーー!!!ちょっと、ちょっと!!こっち、こっち!!!」 どこからともなくハロルドの大きな声が響く。 何事かと見れば、近くにある林からハロルドが顔を覗かせて、5人に手招きしている。 「ハロルド!勝手にみんなから離れたら、心配するだろ!」 カイルが真っ先にハロルドに向かって言う。 「今はそれどころじゃないのよ。いいから、こっち!」 5人が来たことを確認すると、ハロルドは林の奥へと入っていく。 誰も入った事のないような獣道をどんどん進んでいく。 しかも、足取りに迷いはなく、まるで行き先が決まっているかのようだ。 「何があったの?」 無言で先頭を行くハロルドにカイルが話しかける。 ハロルドはずっと手元にある機械を見ながらなので、何も言おうとはしなかった。 「何かすごい力を感じるのよ。さっき、これを見たらね」 つい先日完成した解析君改2号をみんなに見せる。 「力って一体何の・・・?」 リアラが不安そうに聞くのを、ハロルドは軽く笑って見せる。 「分からないわよ~。ただ、レンズの力とは何かが違っている力・・・」 「・・・・・・」 その言葉の最後にハロルドは真面目な顔つきになる。 その意味を全員が感じ取り、一気に緊張を高めていく。 カイルとジューダスは鞘から剣を抜き放った。 誰も何も話さず、しばらく歩く。 「そろそろね」 モニターの反応を見て、ハロルドが呟いた。
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