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記憶を消される、か…
『俺が変わりに死んだらあいついつまで生きれんの?』
と俺が聞くと、無表情やったアヤベがにこりと微笑んだ。怪しげに。
『それは言えません。ルールですので。』
ルールて…
だって俺がここで代理死契約しても元々の俺の寿命が残り一日やったら意味ないやん。
………まあ、あいつが『今日』を過ごすことに意味があるんやけど………
ん?
そういや…
『あいつ、なんで死ぬはずなん?』
『藤原貴史様の本来の死因を聞きたいのですか?』
そう言うとアヤベはうーんと首を傾げて悩むしぐさをみせた。
またルールとかいうやつにひっかかるんやろか…?
が、アヤベは小さく二回頷くと「まあいいでしょう。」と口を開いた。
『バイクで走行中に雪で滑り、事故死するはずです。』
『バイクで事故を?あいつが?』
そんなバカな。
あいつがバイクで事故るはずがない。
あいつはバイクが大好きで、夜は仲間と走っとるぐらいやし、雪なんかでは……
『ええ。普通なら。』
アヤベは俺の心が読めるのか、先程までの俺の考えを否定しにかかる。
『今日、藤原貴史様は猛スピードでバイクを走らせます。そしていつもよりも数段と荒々しく運転します。』
だから、なんでや。
そう口を開こうとした俺は次のアヤベの言葉に、ガツンと殴られたように固まる。
『なぜなら、あなたが発作で運ばれたと連絡が来るからです』
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