雪降る夜に

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『藤原さん!?藤原一裕さん!?……くそっ、早くご家族に連絡を!!』 慌てる救急隊員の声を聞きながら、俺はひゅうっと息を吸った。 やば、こんなに苦しかったっけ? 胸をつかんでのけ反る俺の体を救急隊員は無理矢理押さえて治療しようとする。 あかんよ。 どうせ助からんねやから、最期ぐらい自由に苦しませてくれや。 喉をひゅうひゅうゼーゼーならしながら苦しむ俺は多分、酷い顔をしとると思う。 視界がだんだんぼやけて、 何も考えれんようなって、 音もなんも聞こえんくなって、 あれ、俺、息しとるか? 苦し… 貴史、おかん、おとん…今まですまん、 ありがとな、 手も、足も、頭も、じーんてなって、 なんもわからん、 『一裕ぉぉぉ!死ぬなボケぇ!!』 もうほんまにあかんな、 貴史の声が聞こえるなんて… 目がふっと虚ろんなって、 必死こいて胸をつかんどった手はぱたりと落ちて、 最期に一回ぜぇって息を吸って、 そんで俺は、 『………し、心肺停止です!!』 貴史のかわりに 死んだ。
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