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呼吸が落ち着いた俺は、固いストレッチャーの上で体を起こした。
『ありがとう。まじで助かったわ。』
死神的な男の素晴らしい力に感服しつつも、たくさんの疑問が浮かぶ。
でもまあ、まずは……
『お前、何?』
やな。おん。
するとそいつはうやうやしい笑みを浮かべて平然と答えた。
『私は、アヤベです。』
………名前?
いやいやいや。
『いやいや。アヤベです、やなくて。名前聞いとるんやなくて。何者かを聞いとんねん。』
『ですから、アヤベです。』
にこり、と再び笑うそいつ……もとい、アヤベは中々話が噛み合わない。
『死神的な存在かな、と思てんけど。』
俺がそういうとアヤベはようやく少し表情をかえた。
『ああ、シニガミですか。私のことをそう呼ぶ方もいますね。』
『なるほどな。』
『ですが、対極に…その……テ、テ、テン………』
『天使?』
俺がそういうとアヤベはポン、と手を打った。
『それです!テンシ!そう呼ばれることもあります。』
こいつが天使って…
どこが……
という気持ちが思いっきり顔に出とったんやろう。
アヤベも少し眉を下げる。
『まあ、大抵の人は私がこの話をするとそのような顔をしますが…』
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