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『代理死契約を結ぶ、ということで宜しいですね?』
さっきまでずっと微笑んでいたアヤベの表情は一転し、無表情になった。
『だいりし…?』
聞きなれない単語に首をかしげると、アヤベが説明を始めた。
『ええ。私は生命の契約者。これから藤原貴史様が生まれる前にその運命と交わした「死の契約」に基づき、寿命終了のお迎えにあがるところでした。ですが、あなたは「自分が変わりに死ぬ」と言い出した。』
俺は頭をフル回転させて説明についていく。
『ここであなたに使えるのは「代理死」です。本来、契約者の死期の延長は代理死か寿命の贈呈によってのみ可能です。』
寿命の贈呈…?
それならあいつは助かるやん!
『寿命の贈呈っちゅーのをしてくれや!!』
俺が声をあげるとアヤベは静かに首を横にふった。
『ですが寿命の贈呈は何らかの形で運命に貢献し、契約者の寿命の延長がその対価として見合う場合のみ行えます。ですから今回契約者が使えるのは「代理死」のみ。』
わかりますか?と一呼吸おくアヤベに、俺は生唾をのみながらうなづいた。
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