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「ジヨンさん」
『ん?』
じっとこっちを見つめるジヨンさん。
だめ──……
終わってしまうから……
きっともう、会えなくなっちゃうから………
「……あのね、」
言いかけたときだった。
「ジヨン?」
可愛らしい女の子が、ジヨンさんの寄り掛かるドアの窓から顔を覗かせた。
「どなた?」
『友達』
そう言って、優しく、愛しそうに彼女の髪を撫でる。
……───やめて
やめてよ、
『可愛いだろ?』
って
そんな嬉しそうな顔しないで…
どんどん滲んでいく視界。
「も、遅いから切るね……?」
『ん、おやすみ。』
「……、おやすみなさい…」
そう言って電話を切ったと同時に
ずるりと崩れ落ちた。
車の音が遠くなる。
「……っ……く……」
声にならない涙が溢れてくる。
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