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「………ふっ……くっ……
ジヨンさん………ジヨンさん………っ…」
箱から落としてしまったのか
タバコが何本か床に落ちていた。
その一本を拾い上げて
震える手で火を点ける。
「……しょっぱ…」
いつもの苦さじゃなく
口に広がったのはしょぱさと苦味。
「……─はぁ、」
未だ溢れる落ちる涙もそのままに空を見上げると
星が、もっと遠くなっている気がした。
「……あり得ないのにね」
「ふ………」
私は
何度も何度も同じことを繰り返す。
少し期待しては泣いて
また愛して
叶うことのない願いを
何度も何度も空に呟く。
「……────会いたい」
『ほんとバカだなぁ』
ふっと笑う彼が
見えた気がした。
fin
.
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